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July 23, 2005

第67話 土と水の輸入

 東大沖助教授らの試算によると、農畜産物輸入に伴う仮想水の輸入は640億km3/年 となっており、わが国年間灌漑用水使用量590億m3とほぼ同等で、ダム総貯水量200億m3の 3倍にも達している。

仮想土の輸入は、耕地面積を480万haとして、自給率40%であることから、国内の耕地の1.5倍に当たる720万haの土地を輸入していることになる。なお、沖助教授他の農畜産物輸入の土地面積換算では、仮想水が1129 億m3の場合、土地面積換算は1693万haとなっており、640億m3で単純に置き換えると960万haになる。
 
 2002年春、中国大陸からの黄砂が北海道を覆った。重化学工業の進展に伴って、中国での砂漠化が深刻化しているのである。中国の経済発展の裏には公害による重金属の汚染が指摘されている。また、数年前、中国からの輸入野菜が農薬漬けの毒菜と言われて大騒ぎになったことがある。安全かつ安心な農産物を消費者が入手するには、生産者の顔がみえることが一番である。

 しかし、本当の安全・安心を求めるならば、生産者の顔が見えて、かつ、その生産履歴が確かであることが必要である。その場合、生産物を作る基となる「土と水」が清浄なことが確認できれば、さらに安心である。

安価な農作物は中国から輸入できても、その農作物をつくる「土と水」が清浄である保証ない。輸入できる生産物ではなく、輸入できない「土と水」の安全・安心が地域農作物の信頼性と価値を高めるのである。


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July 22, 2005

第66話 国産の強みをどう活かすか

 わが国の食料自給率が低いと良く指摘される。自給率は国内の食料消費という分母と、国内生産量という分子の比率とする比率であって、その高低はその相対量によって決まってくる。わが国の食料自給率の低下の原因は分子である国内生産量の変化よりも分母である食料消費の過去著しい増加が大きな要因となっている。

 ちなみに、平成15年度食料・農業・農村白書では、「長期的には食生活の変化に伴い食料需要の品目構成が変化し、国内生産の不足を補う形で輸入が増加したことが、我が国の食料自給率の低下の大きな要因である。」(第1部第1章、p.37.)と説明されている。

 つまり、国内で生産される農水産物(商品)の供給能力が消費者ニーズの変化に間に合わなかったということである。食料消費支出での増加が著しい流通部門、とくに外食、中食、食品製造業といった業務用の需要に対応できなかったのである。

 業務用食材の国内生産は、開発輸入と競合する非常に厳しい世界であり、合理化が最も徹底される部門である。国産生産部門がこの点を十分に認識しないかぎり、自給率が高まるとは思えない。

 野菜の例で考えてみよう。国産物は輸入物と比較すると、鮮度では少なくとも5日は有利である。氷温などの鮮度保持技術の進歩があったにしても、今後とも輸入物と国産物との相対較差は存在するであろう。

 とくに、産地から消費者までの温度管理システムの構築が課題である。また、今年の春の野菜の暴落のように、世界の生産情報を収集した上で、全国ベースでの計画的な出荷にむけて適時適作システムが必要と考えられる。グローバル化の進展の中、WTOの行く末を考えると、このような課題を生産サイドが克服することが重要となっている。

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第65話 土壌微生物の研究

 野菜や畑作の産地で連作による産地化で、輪作体系が崩れ、土壌病害菌による連作障害が多発している。農薬や土壌消毒などによっても改善の兆しは見えていない。このため、土壌改良のために微生物を使った資材が多く販売されているが、その効果のほどは確かではない。結果に結びつかないことが多いのは、そもそも土壌にはその環境に適応して生息している微生物が既に存在しているため、有用な微生物を人為的に少量添加しても、増殖するまでに死滅してしまうと考えられる。有用微生物がもつ機能を発現させる手法がいまだに確立していないのである。

 この理由の一つには自然界に生息する多様な微生物は培養困難か又は培養不能なものが99%と考えられ、微生物研究において単離・培養できない微生物は研究において無視せざるをえなかったことが挙げられる。近年、培養を介さないで土壌や海水から採取した微生物から直接抽出した核酸(eDNA)をもとに生物相を解析したり、遺伝子情報を取得することが可能になった。eDNAを利用した微生物群を対象にしたゲノム解析(メタゲノム解析)によって、新規の有用な酵素や生理活性物質が発見されることが期待されている。

 

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July 21, 2005

第64話 閑話休題

 リクルート服姿の就職活動の方を時折見受けます。
「生き甲斐」とか、「好きなことをしなさい」という言葉を意識せずによく使いますが、よくよく考えると、少し違っているようです。特別な人種以外は、好きなことも、生き甲斐も人生経験を積んでこそ生まれてくるものです。

本当は、年寄りが昔から言っているように、

「人様のお役に立つような人間になりなさい」
という言葉が適切なのではないかと思うこの頃です。

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July 20, 2005

第63話 震災疎開プロジェクト

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 安井潤一郎氏は、「リサイクル」から「地域教育」など多彩なテーマを掲げて、住民や早稲田大学も巻き込んだオープンなまちづくりを展開している早稲田商店街の会長であり、食農わくわくねっとわーく北海道の設立準備会に講演頂いたことがある。

 また、全国の商店街のまちづくりのパイオニア的な存在としても知られている。2002年には、全国商店街震災対策連絡協議会を設立して震災対策疎開プロジェクトを始めた。

 震災疎開プロジェクトは、年間5,000円(お一人様)を支払うと、震災が起こった時には受入先として名乗りをあげた疎開地が一定期間「お客様」として迎えてくれる内容である。震災時には、宿泊費、交通費など30万円の現物支給があり、震災がないときには、下見ツアーの受け入れや名産品3,000円分が届く。

 まちづくりと震災対策を組み合わせた地域間交流プランとしては画期的な企画であり、防災功労者内閣総理大臣賞を受賞している。また、2004年の新潟中越地震に際しては、被災者への支援として、長野県飯山市戸刈観光協会は十日町市の被災者の日帰りツアーを10月30日、11月1日に実施しており、山形県長井市、群馬県東村、長野県戸刈温泉などが一時避難受け入れを申し出た。

画像 食農わくわくねっとわーく設立準備会の模様 安井会長撮影

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July 19, 2005

第62話 機能水の研究

 梅津鐵市氏はものづくりである農業の発展のチャンスはこれからも大きいと考えている。その要素は技術である。野菜(植物)は単独では存在せず、他の生命体(動植物)、土壌(鉱物、微量要素、水を含む)、微生物と相互に関連して生きている。

 この全体の場に成長にかかわる太陽光線が注がれている。この生命の場をトータルに研究するには、従来の要素還元主義的な細分化された農学の手法では解明できず、とりわけ量子力学や分子生物学など他分野の学問の総合的な適用が必要であると指摘する。とりわけ、植物の生育には微生物や酵素が多く関与していること、また、植物と土壌との間には電磁波(光線)と水の機能が大きく関与していると考えている。

 近年、水の医療や農業分野での実証と研究が進んできており、「機能水」(注)という言葉も生まれている。

梅津氏は微量要素を含有する液状土壌改良材と出会ったことから、これを契機に独自の土壌改良技術を開発することとなった。微量要素を根から吸収する植物にとって、水が重要な機能を果たすことに気づいた彼は、植物が必要としているのは一定の必須要素とされているものに限らず、地球上の全ての元素が生育に関与し、しかも、微量要素の割合は地球を組成している割合で必要となると考えた。

 ちなみに、植物や人体の組織中に含まれている元素濃度と地殻中の岩石の元素濃度との間には0.7の相関係数が認められている ので、梅津さんの考え方には一理あると考えられる。

 微量要素を水にどうやって入れるかを研究した結果、2%の希硫酸により多くの元素を溶かした水(SB-T)を開発した。このSB-Tにより堆肥や土壌の改良が進み、イズミ農園の野菜作りに大きく貢献することとなった。

注)「機能水」には①電場・磁場のエネルギーで物理的に処理した水②物質を添加した水③物質を除去した水などがある。機能水についてはPH、表面張力、酸化還元電位などの物性変化が報告されている 。

 なお、日本機能水学会(2002年 9月発足)の定義では、機能水は、「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の中で、処理と機能に関して科学的根拠が明かにされたもの、及び明かにされようとしているもの」となっている。

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第61話 レスター・ブラウン

 「人間は、人類誕生とともに地球の持続可能な生産物に頼って暮らしてきた。いわば自然界に貯えられた資産の利息分である。しかし今では、元本ともいうべき資産そのものを消費しつづけている。」30年前から、地球環境問題に警鐘を鳴らしているレスター・ブラウン氏のこの指摘は次第に実現化しているように思える。

 2004年6月、中国視察を終えて来日したレスター・ブラウン氏は、中国の工業化の進展、特にモータリゼーションに伴う農地の減少が近い将来における国際穀物価格の上昇を招くこと指摘している。鉄鋼や石炭といった資源は既に中国の輸入によって、国際価格の急騰を招いており、中国は世界各国の資源争奪戦に火をつけたのである。レスター・ブラウン氏はこの1,2年のうちに国際穀物価格が上昇することを懸念している。

 

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